日本家政学会誌
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ボタンの形状が上肢にまひのある人の掛け外し動作と筋活動におよぼす影響
雙田 珠己
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2020 年 71 巻 1 号 p. 1-11

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抄録

 本研究の目的は, 上肢の障害状態に適したボタンの種類とボタン穴の組み合わせを明らかにすることである. 障害のある人6名と健常な女性14名が, 3種類のボタン (四つ穴ボタン, 足付きボタン, タックボタン) と2種類の穴 (横穴, 縦穴) の組み合わせをテストし, 筋電図を用いて手の負担を数値化した. その結果, 健常者の掛ける操作では, 両手の第一背側骨間筋の筋活動量は17~19%MVC程度, 浅指屈筋の筋活動量は14~15%MVC程度を示し, 外す操作の値よりも多かった. 縦穴の筋活動量は横穴よりも少なく, 足付きボタンの感覚評価が高かった. また, 筋活動量と感覚評価には弱い負の相関がみられた. 一方, 障害のある人がボタンを掛ける操作では, 重いまひのある人を除いて, 第一背側骨間筋の活動量は健常者の平均よりも概ね少なく, また, 障害のある人のほとんどで浅指屈筋の活動量は15%MVCを超えた. まひの軽い人は足付きボタンの感覚評価が高く, まひの重い人は筋活動量の少ないタックボタンの感覚評価が高かった.

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© 2020 一般社団法人 日本家政学会
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