2015 年 43 巻 6 号 p. 483-488
ヒトのてんかん焦点活動を, 神経細胞とグリア細胞の視点から脳波活動を分析することによって病態を解明するアプローチが, 基礎と臨床の相互のtranslatabilityとしててんかん病態の理解やてんかん外科の術前脳機能評価に応用されつつある。てんかん性DC電位 (緩電位) の発生機構として, 1) 神経細胞群がてんかん性に過剰興奮 (=突発性脱分極変位) し, 脱分極性の膜電位変動 (=フィールド電位に反映される) が遷延した状態, 2) 上記の細胞外Kの上昇によりグリア細胞に受動的な脱分極が起こり, それに対応したフィールド電位変化を増幅した状態, 3) グリア細胞が能動的に膜電位変動をきたし, 緩徐な律動的変動を示した状態, が現在想定されている。今後, DC電位 (緩電位) とHFOを比較して, マクロ記録, ミクロ記録の検討を行うことで, 両者の発生機構がより明瞭になることが期待される。