日本シルク学会誌
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原著
限性品種「黄白」繭の生糸による織物の試作と性状
青木 昭栗岡 富士江
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1997 年 6 巻 p. 36-42

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抄録

 限性品種「黄白」繭の生糸がもつ色彩を利用した色柄の作出を目的として先練織物を試作した。経糸には黄繭糸 (生) と黄繭糸 (練) とを経縞柄に配列して天然の色を強調し、緯糸には黄・白それぞれの練糸を織り込み、練絹の柔らかさを与えて、良好な風合いの生地を得た。
 黄繭糸は酵素精練により出来るだけ黄味が残るように練減を加減した。織糸に使った黄繭糸は生・練糸ともにエポキシ加工を施し、セリシンの溶解性を抑えて黄色の堅ろう性を高める工夫がしてある。
 洗濯試験では収縮率3%以内、変退色4級、風合いに著しい変化もなく、経糸に配列した黄繭糸 (生) の湿熱によるセット効果により、スチームアイロン仕上げで保形性が向上した。なお、黄繭糸の色を残すことによるセリシン残膠量が、織物の吸湿性を高める効果を示した。

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© 1997 日本シルク学会
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