日本小児血液学会雑誌
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Thrombopoietin : シグナル伝達と臨床応用
佐藤 武幸布施 晃
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1997 年 11 巻 6 号 p. 397-404

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抄録

TPOはシグナルに関する多数の分子のチロシンをリン酸化し, その受容体であるMplを介するRas/MAPK系およびJAK/STAT系のシグナル伝達を活性化させる.しかしTPOに特異的な伝達機構については, いまだ不明である.血清TPO濃度は, 骨髄巨核球および血小板表面に発現するMplに結合することにより調節されているようである.しかし血小板減少時のTPOのmRNA発現は, 肝臓では一定であるが, 骨髄では増加しており, その他の調節機構の存在も示されている.ポリエチレングリコール付加TPO (PEG-rHuMGDF) と, 糖鎖のある完全型TPOが臨床に用いられた.癌患者において著明な合併症もなく血小板数の増加または化学療法後の血小板回復期間の短縮が投与量依存性に得られた.血小板機能は正常であった.これらにより, TPOは臨床応用において有益である可能性が示された.

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