小児歯科学雑誌
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マウス臼歯咬耗における関連因子の検討
小川 京許田 依里池松 奈々宮本 桃江岡本 春憲清水 邦彦前田 隆秀
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キーワード: マウス, 咬耗, 下顎角, SEM, 唾液量
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2007 年 45 巻 4 号 p. 516-520

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抄録

本研究は,系統間で咬耗程度が異なるC57BL/6およびC3H系統マウスを用いて,咬耗の関連因子を検討することにより,咬耗原因因子の解明を目的とした。
2系統マウスを2種類の飼料(固形標準食および粉状高脂食)により2群に分け,実験開始の21日齢から飼料を与え,240日後に下顎骨を摘出した。これらを用いて,以下の3点について検討した。
1.固形・標準食群の下顎角は,C57BL/6系統よりもC3H系統の方が有意に小さかった。このことから,C3H系統の方が強い咬合力を有する可能性のあることが示唆された。
2.粉状・高脂食群の咬耗面をSEM撮影したところ,露出象牙質面がC57BL/6系統で滑らかだったのに対し,C3H系統は粗造であり,系統間で歯質が異なると考えられた。
3. 90日齢の固形・標準食群マウスにピロカルピンを投与し,3分間に採取された唾液量を測定した。C57BL/6系統よりも,C3H系統の方が有意に多く,唾液と咬耗について今後検討する必要があると考えられた。本研究より,咬耗は下顎角および歯質との関連が示唆された。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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