小児歯科学雑誌
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笑気吸入鎮静法を経験した患児および保護者の意見ならびに行動変化
両川 明子齋藤 亮浅川 剛吉松本 弘紀武藤 梨奈田中 光郎
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2005 年 43 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

小児の歯科治療時に笑気吸入鎮静法を用いることにより,術中の協力状態と次回来院時における協力状態への影響を検討するために,本法下での歯科治療時および次回来院時の小児の協力状態を外部行動によって評価した.また,本法下にて歯科治療を行った小児とその保護者を対象にアンケートを行い,本法に対する感想と意見を調査した.
小児の外部行動の変化における,術中の笑気吸入鎮静法の効果は増齢に伴い増加する傾向を示した.また,低年齢児にも有効に使用できる場合があった.さらに,術中の笑気吸入鎮静法で効果があったと判断された小児は次回来院時に外部行動の変化がみられ,以前より協力状態が改善した.アンケートでは,笑気吸入鎮静法を使用してよかったという回答に比べ,再び使用したいという回答がやや少なく保護者の本法使用への不安感が反映しているものと思われた.本法の一般の認知度は低く,その安全性や快適性が充分浸透しているとは言いがたい状況であることから,使用に当たっては充分に説明を行い,インフォームドコンセントを得る必要がある.また,社会における認知度を向上させるための方策も合わせて進める必要があると思われた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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