小児歯科学雑誌
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若年者の顎関節症患者におけるMRI所見と臨床症状
吉野 弘世鶴山 賢太郎生田 哲生田 剛史吉田 明弘前田 隆秀
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キーワード: 顎関節症, 若年者, MRI, 臨床症状
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2000 年 38 巻 1 号 p. 64-72

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抄録

平成9年3月から平成11年4月までに日本大学松戸歯学部小児歯科部に顎関節症症状を主訴に来院し,MRIの撮像が可能であった患児56名(男児15名,女児41名,平均年齢13歳4か月:範囲9~16歳)の112関節について,MRI所見と臨床症状について検討した。
MRIにて関節円板の前方転位が認められた症例は48.2%であり,その内訳は,軽度前方転位18.7%,中等度前方転位28.6%および高度前方転位0.9%であった。復位を伴わない関節円板前方転位が61.1%に認められた。
関節円板形態については,関節円板前方転位が認められた54関節中68.5%に円板変形が認められた。また,復位を伴う関節円板前方転位が認められた21関節中33.3%に円板変形が存在していたのに対し,復位を伴わない関節円板前方転位が認められた33関節中では90.9%と高頻度に円板変形が認められた。
joint effusionについては,112関節中の関節円板27.7%に認められた。転位なし群および復位を伴う関節円板前方転位群と比較して,復位を伴わない関節円板前方転位は高頻度にjoint effusionが認められた。
臨床症状別にMRI所見をみると,疼痛および開口障害は復位を伴わない関節円板前方転位に高頻度に認められた。雑音については復位を伴う関節円板前方転位と復位を伴わない関節円板前方転位に同程度に高く認められた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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