小児歯科学雑誌
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象牙質接着システムとレジンによる修復が根管治療後の幼若永久歯の破折に与える影響に関する実験的研究
宮新 美智世江橋 美穂高木 裕三小野 博志岩崎 直彦高橋 英和西村 文夫
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1998 年 36 巻 5 号 p. 777-789

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抄録

根管治療を受けた幼若永久歯は,破折が高頻度に観察されている。
本研究は,各種修復法が幼若永久歯の物理的強度に与える影響を調べ,より良い方法を検討することを目的として行った。ウシ下顎幼若永久前歯から歯髄を除去し,根管口と根管腔を,象牙質接着システムとコンポジットレジン,接着性レジンと金属インレー,さらに象牙質接着システムとコンポジットレジンならびにステンレス製ポストを用いて修復した。その後,修復歯の歯冠舌側面に歯軸にたいして45° の方向から外力を加え,破折実験を行った。これにより得られた破折時の荷重は,各実験群で統計的に処理し比較した。
その結果,試験機の加圧部に細く幅広の加圧子を装着し加圧した際に,臨床で観察されるヒト切歯の斜め破折に類似した破折形態が多く得られた。この破折方法を用いて破折させた場合,天蓋除去後に何も充填しない群に比べ,コンポジットレジン単独充填を行った歯と,一部の象牙質接着システムにコンポジットレジン充填を併用した歯は,破折に対して有意に強かった。また,金属インレーを装着した場合や,より深い窩洞へと充填した場合は,歯根歯頸部の破折頻度が増加した。さらに,全根にわたるポストと接着性レジンを用いた群では他の群に比べて,破折時荷重は有意に高かった。しかし,これらの歯のほとんどに歯根の不完全破折が合併していた。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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