小児歯科学雑誌
Online ISSN : 2186-5078
Print ISSN : 0583-1199
ISSN-L : 0583-1199
乳歯に対するCELAY®セラミックスインレー・アンレーの応用について
長谷川 智一一瀬 暢宏福本 敏釜崎 陽子後藤 讓治
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 36 巻 3 号 p. 491-502

詳細
抄録

CELAY®システムを用いて乳臼歯にセラミックス修復を行い,修復直後から定期検診毎に修復後2年まで,臨床評価および走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microsope: SEM)による辺縁適合性の観察を行った。
USPHS(United States Public Health Service)の評価基準A,B,Cに基づく臨床評価によると,良好な結果が得られた。しかし修復後6か月以上からレジンセメントの磨耗が確認され,12か月以降ですべての症例に認められた。また体部破折が14歯中2歯認められた。辺縁破折も2歯認められた。
SEMによる辺縁適合性の観察では,修復後3か月以上からレジンセメントの磨耗によりセメントラインがすべての症例で認められた。長期症例では,肉眼で確認不可能だった体部破折が1例認められた。さらにセラミックス辺縁の微小破折がすべての症例に認められた。
乳臼歯に対するセラミックス修復は臨床評価からは優れた色調適合性を示したが,SEMによる辺縁適合性の経時的観察からはセラミックスの微小辺縁破折およびレジンセメントの磨耗が認められた。将来問題となるのはレジンセメントの磨耗による辺縁漏洩およびセラミックスの破折と考えられた。
以上の結果から耐磨耗性に優れたレジンセメントの使用により,乳歯に対するセラミックス修復の有用性が示唆された。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本小児歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top