小児歯科学雑誌
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小児期における下顎底部皮質骨の測定に関する臨床的研究-日本人と中国人について-
葛 立宏石 广香牧 憲司大里 泰照児玉 昭資竹下 尚利有住 隆吏木村 光孝
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1994 年 32 巻 5 号 p. 1110-1116

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抄録

本論文は,小児における下顎骨の成長発育過程を民族・食生活・風土の異なる日本・中国の両国間で比較検討する目的で,九州歯科大学附属病院小児歯科外来と北京医科大学口腔医学院小児牙科外来を受診した正常咬合を有する4歳児から8歳児までの小児100名を対象に,パノラマエックス線写真上で下顎底部皮質骨の計測を行い,拡大率に従い,補正を行い,次のような結果を得た.
1.下顎底部皮質骨の厚さの平均値
日本人小児では,4歳2.28±0.34mm,5歳2.31±0.37mm,6歳2.32±0.41mm,7歳2.61±0.28mm,8歳2.70±0.47mm,中国人小児は,4歳2.57±0.41mm,5歳2.59±0.37mm,6歳2.64±0.27mm,7歳2.87±0.42mm,8歳2.95±0.38mmであった.
男女別にみた下顎底部皮質骨の厚さの平均値
日本人小児では,男児4歳2.24±0.31mm,5歳2.20±0.41mm,6歳2.30±0.39mm,7歳2.58±0.24mm,8歳2.68±0.50mm,女児4歳2.32±0.37mm,5歳2.42±0.29mm,6歳2.34±0.42mm,7歳2.64±0.30mm,8歳2.72±0.44mm,中国人小児では男児4歳2.54±0.37mm,5歳2.49±0.31mm,6歳2.59±0.28mm,7歳2.90±0.40mm,8歳2.90±0.46mm,中国女児4歳2.60±0.42mm,5歳2.69±0.40mm,6歳2.68±0.30mm,7歳2.84±0.44mm,8歳3.00±0.25mmであった.
左右別の下顎底部皮質骨の厚さの平均値
日本人小児では,左側は4歳2.23±0.16mm,5歳2.30±0.21mm,6歳2.42±0.26mm,7歳2.57±0.29mm,8歳2.73±0.46mm,右側は4歳2.33±0.39mm,5歳2.32±0.22mm,6歳22.22±0.30mm,7歳2.65±0.30mm,8歳2.67±0.46mm,中国人小児では,左側は4歳2.56±0.36mm,5歳2.50±0.24mm,6歳2.48±0.25mm,7歳2.83±0.40,8歳2.98±0.28mm,右側は4歳2.59±0.38mm,5歳2.68±0.26mm,6歳2.76±0.26mm,7歳2.91±0.38mm,8歳2.92±0.35mm,であった.
2.男女間の下顎底部皮質骨の厚さのt検定
中国人小児では4歳から8歳まで有意差は認められなかったが,日本人小児の5歳で女児が男児に比較し有意に高値を示した.左右間の有意差は,両国小児のいずれの年齢でも認められなかった.
3.両国間の下顎底部皮質骨の厚さのt検定の結果,中国人小児が日本人小児に比べて,4歳,5歳7歳,8歳(p<0.01)6歳(p<0.05)と有意に高値であった.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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