小児歯科学雑誌
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小児の歯牙腫16例の臨床的観察
金原 奈々子中倉 邦子富沢 美恵子野田 忠
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キーワード: 歯牙腫, 小児, 臨床的観察
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1989 年 27 巻 2 号 p. 546-555

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抄録

新潟大学歯学部附属病院小児歯科外来では,昭和54年9月から平成元年1月までの9年間に,病理組織学的に歯牙腫と診断されたもの16例を経験した。著者らはこれら16例について,予後調査も含めて臨床的観察を行った。
1.患児の年齢は,1歳2カ月-13歳3カ月であり,性別では男児12例,女児4例であった。
2.病理組織学的には,集合型12例,複雑型2例,中間型1例,エナメル上皮線維歯牙腫が1例であった。
3.発生部位は,上顎9例,下顎7例で,集合型では上顎切歯,犬歯部に多く,複雑型も上顎切歯部にみられた。
4.発見のきっかけ,および歯への影響は,近接歯の萌出遅延が最も多かった。
5.小児の歯牙腫には石灰化の程度が低く,大きさも小さく,X線写真で見落としたり,診断がつけにくいものもある。6.歯牙腫の早期発見,適時摘出により,萌出遅延歯は,自然萌出あるいは誘導萌出が期待できる。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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