小児歯科学雑誌
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乳歯過剰歯の2例
旭爪 伸二大野 秀夫森主 宜延小椋 正
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キーワード: 乳歯, 過剰歯, 臨床的対応
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1984 年 22 巻 4 号 p. 906-914

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抄録

真性乳歯過剰歯の発現頻度は永久歯に比較してきわめて低いとされているが,我々は上顎に犬歯形と側切歯形をとった乳歯過剰歯の2症例を経験した.
2症例とも家族歴,既往歴,全身所見に特記すべき事項はなかった.症例1は4歳1ヵ月の女児で,上顎左側の乳側切歯と第1乳臼歯の間に2本の乳犬歯を認めたが,他にX線所見での異常はなく,後継過剰歯も認めなかった.症例IIは5歳1カ月の女児で,上顎左側の乳中切歯と乳犬歯の間に2本の乳側切歯を認め,X線所見でも後継過剰歯が見られた.
過剰歯の判定については,歯列上に萌出していたこと,万能投影器を用いて比較した歯冠形態が相似形であったこと,その他X線診査等を考慮して,守口らがまとめた判定基準に条件が当てはまるとして乳歯過剰歯と判定した.症例1では齲蝕の進行度も類似していた.
以上の2症例により,乳歯過剰歯を早期に発見することの重要性,その保健指導,および咬合誘導的には,永久歯交換期まで定期的に管理する必要が示された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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