小児歯科学雑誌
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父子に多数の埋伏歯を認めた症例
大山 ひとみ今西 秀明祖父江 鎮雄松村 智弘
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1981 年 19 巻 2 号 p. 362-368

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抄録

鎖骨頭蓋異骨症,甲状腺機能減退症,骨形成不全症,くる病等の全身疾患では,多数歯にわたる埋伏と萌出遅延がみられる。
我々は全身的な疾患がなくて,多数の永久歯が萌出してこない症例に遭遇したので,ここで報告する。患児(10歳の男児)は乳歯の晩期残存と永久歯の萌出遅延を主訴として,本学小児歯科を訪れた。初診時の検診で,〓が萌出していた。パノラマX 線写真では,〓の埋伏が認められたが, 歯胚の数や形の異常は認められなかった。患児の父親( 4 2 歳) は,〓が埋伏していた。
血液検査,および内分泌系検査の結果では異常は認められなかった。処置としては,1/4顎ずつ埋伏歯をおおっている歯槽骨を除去し,開窓術を行った。術後約2 年で数本の歯は萌出したが,〓は, まだ萌出していない。現在他の処置は施さずに,経過を観察している。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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