都市計画法に基づく既存の線引きを廃止した西条市を対象に, 線引き廃止が農地転用に与える影響を検討した.その結果, 線引き廃止の影響は, 旧市街化調整区域内の2種農地に最も顕著に表れ, 賃借権設定による大規模な店舗転用や, 所有権移転による小規模分散型の住宅転用が増加した.共同住宅等への転用は, 農地を農外利用することで継続的に収入を得たい供給側(農地所有者)主体の転用であり, 農村移住者の需要に合致しない可能性が示唆された.また, 農用地区域のうち除外後に2種農地となる農地は多様な目的に転用されていた.都市計画法による土地利用規制がかからない地方都市周辺等では, 農振法・農地法が農地の生産性のみを判断材料とするのではなく, ゾーニングに基づき転用位置および目的制限を行うことができるよう, 法制度の改善が必要であることを指摘した.