2011 年 79 巻 6 号 p. 401-409
本研究では,沖縄県国頭村と東村でのアンケートにより赤土対策導入の現状と農家意識について把握し,モンテカルロ(MC)シミュレーションを用いた赤土流出量計算により,補填率の違いによる赤土流出量変化および対策費と赤土流出量の関係を検討した.その結果,次のことが認められた.①対策への補助体制の違いが対策導入状況に影響し,対策としてマルチングとグリーンベルトの認知が高く,導入農家が多かった.②農家の対策導入意思は,100%補填で90%以上,50%,0%では減少し,100%補填で意思の無い農家は150%補填でも意思が無かった.③両村で補填率に対する導入意思変化に差がなかった.④情報不足での赤土流出量推定値はばらつき,MCシミュレーションによる確率的把握が有効である.⑤対策費用と赤土流出量に明確な関係はないが,両者にはパレート関係にある包絡線が描け,MCシミュレーションにより費用対効果を考慮した事業計画が可能であるといえる.