2020 年 88 巻 2 号 p. 125-128,a2
災害復旧業務は原則的に市町村が行うが,近年は農業農村整備分野の技術職員不在の地区も多く,災害復旧事業,特に大規模災害時の対応力は乏しい。東日本大震災では,ほとんどの市町村は対応策を構想できず,「県に示してほしい」という状態であった。そこで,市町村の復旧業務に県の積極的介入が行われ,多様な支援が行われた。支援内容は①復旧業務の代行,②県職員の派遣,③災害復旧方針の設計・対応,④情報収集・意思決定の支援,⑤県独自の復旧方策の実施,など多岐である。支援の必要度は今後高まるものと予測されるため,新潟県中越大震災および東日本大震災における被災県の調査経験をもとに,今後の都道府県の役割について提案する。