農業農村工学会誌
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農業水路に設置した粗石付き斜路式魚道の効果
森 淳渡部 恵司小出水 規行竹村 武士
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2016 年 84 巻 9 号 p. 787-790,a3

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抄録

粗石付き斜路型魚道は,安価で工事も容易であり,多面的機能支払交付金などを活用して農業水路の落差工を解消する有力な工法である。栃木県内に造成された粗石付き斜路型魚道で遡上調査を行ったところ,魚道内は階段状の水面形を呈し,流速が低減されて魚の遡上に適した水理条件となっていた。延べ16日間の調査期間中445尾が遡上し,93%がドジョウ,タモロコおよびオイカワだった。遡上個体数と基準水位は有意な正の相関がみられた。魚道の横断方向につけられた傾斜によって左岸側では水深が深くなったが,小流量時には右岸より遡上個体数が少なくなった。これはクレストとの段差の影響と考えられた。水面がスムーズに流れるようにスロープを付けてこの段差を解消すれば,より多くの魚が遡上できると考えられる。

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© 2016 公益社団法人 農業農村工学会
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