2015 年 83 巻 11 号 p. 909-912,a1
農業者の減少,高齢化などに伴い,農地・農業水利施設の維持管理が困難化する状況は,農村において漸次的に進行しているが,地震などの災害後にはこれが急激に進む。本報では,2004年新潟県中越地震の被災集落を事例として,農地・農業水利施設の維持管理の困難化を防ぎ水土の知を次の世代と共有するために進められている営農組合の取組みを紹介する。この組合は旧山古志村(長岡市山古志地区)の隣接3集落の農地を対象として稲作の作業を受託し,農業機械を共同利用して中堅若手世代がオペレータとして作業するものである。営農組合は基幹3作業から委託者の自宅前への米の運搬までを代行し,委託者は水管理と除草を行う。