ガーナ灌漑開発公社所管の6灌漑地区において,灌漑施設の維持管理の状況と,灌漑サービス料(ISC)の支払い状況について調査した。その結果,不適切な維持管理が灌漑効率の低下,ISCの支払い率の低下を招き,さらなる維持管理不足から灌漑面積が減少していく「負のサイクル」は発生していないが,不適切な維持管理が灌漑効率の低下を招いており,「負のサイクル」の発生が懸念される状況であることが推測された。また,ISCの支払い状況からは,灌漑水を確実に使える条件を整え,灌漑農業の収益を確保することにより,ISCの支払いから適切な灌漑施設の維持管理へとつながっていく「正のサイクル」に転換する可能性があることが考えられた。