2012 年 80 巻 10 号 p. 803-807,a1
ボリビア,高知県,ホンジュラスにおいて実施された3つの農村振興事業の成果について比較考察した。事業成果の持続性を獲得するためには,ソーシャル・キャピタルの醸成が不可欠であり,とくに「良いリーダーと堅固な組織の存在」,「地区への愛着と誇り」,「住民の意識改革と振興意欲」の3要素がソーシャル・キャピタル醸成の度合いに大きく関わっていると結論づけた。また,筆者らの経験を通じて,今後の農村振興事業において成果の持続性をより確実に得るためには,ガイドラインや技術マニュアルの作成に加えて,現場で臨機応変に対応できる人材の育成も重要であると述べた。