2000 年 97 巻 8 号 p. 1031-1037
症例は発症当時60歳,女性.主訴は筋力低下にともなう歩行困難.1992年多発性筋炎と強皮症のoverlap症候群と診断された.プレドニゾロンによる治療で筋力低下などは改善されるも,1992年12月頃より腹部膨満感,嘔気,嘔吐が出現した.腹部単純X線検査にて,麻痺性イレウス,腸管嚢腫様気腫,気腹を認め,諸検査にてoverlap症候群の消化管合併症と診断した.在宅中心静脈栄養法などを含めた治療を行っていたが,患者は1997年4月に死亡した,剖検では,小腸は粘膜下層の結合織性硬化と固有筋の萎縮が主体で,腸管嚢腫様気腫も確認できた.