日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
虚血性大腸炎の臨床的検討―発症後,血便がみられるまでの時間の長短による臨床像の比較―
塚本 隆弘井上 文彦東 克己西川 浩史浅越 健助大谷 由利子三宅 直樹瀬古 修二西田 修水本 孝古川 裕夫
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1998 年 95 巻 12 号 p. 1343-1349

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抄録

虚血性大腸炎28例を対象とし,腹痛が出現してから2時間以内に血便をみたもの9例をA群,2時間以上6時間以内に血便をみたもの7例をB群6時間以上を要したもの12例をC群として分類した.そして,本症の臨床像を示す7項目を変数とし,A/B/Cの3群を分類変数として正準判別分析を行った.その結果,A群→B群→C群と明瞭な線形性が認められ,対応する変数として入院後の白血球数のピーク値,log(CRPのピーク値),急性期の内視鏡所見での潰瘍性病変の有無が抽出された.以上より,腹痛が出現してから血便がみられるまでの時間の長短を知ることで,炎症マーカーなどが示す本症の重症度をある程度予測することが可能と考えられた.

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