日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
潰瘍性大腸炎の癌合併例における遺伝子異常に関する検討
戸田 潤子長廻 紘藤盛 孝博加藤 洋林 直諒
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1998 年 95 巻 2 号 p. 123-132

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抄録

潰瘍性大腸炎(以下UC)に合併するdysplasiaや癌の形態診断の補助としての遺伝子情報の有用性を検討した.症例はUCの手術例で癌合併例と,7年以上の経過のある癌非合併例を用いた.ras DCCは各々コドン12の点突然変異,コドン201の多型性をPCR-RFLP法で,p53は免疫組織学的に検討した.rasの変異は癌部でも低率(25%)だった.p53は,癌合併群のUC-IV,IIIで高率に陽性で,対照群は全て陰性だった.DCCコドン201の多型性は対照群も含めGlyが多かった.UCの病態や癌化に各遺伝子異常が関与し,特にp53がdysplasiaや癌の形態診断に有用であった.

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