日本消化器病学会雑誌
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肝細胞機能総量よりみた肝硬変の重症度判定について
佐藤 博之
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1987 年 84 巻 7 号 p. 1406-1414

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抄録

肝細胞機能総量を反映する諸検査法のうち, どのような方法が肝硬変の重症度判定のよい指標になるかについて検討した. 各検査項目で境界値を設定し予後を比較したが, 単に代償性•非代償性に大別して判定した予後に比して鋭敏性では劣つていた. より明確な重症度判定には肝容量, ICG最大除去能 (Rmax) および cholinesterase 活性 (Ch-E) の3者の組合せが最も有用で, 単位体表面積当たりの肝容量500cm3, ICG-Rmax 0.2mg/kg/min, Ch-E 0.2ΔpHを限界値とすると, 3項目とも限界値以上では予後良好な軽症例, 1ないし2項目が限界値以下では中等症例, すべてが限界値以下では昏睡死の危険性が高い重症例であり, さらにHDL結合ICGが10%以下の症例は数カ月以内に死亡する最重症例と考えられた.

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