1986 年 83 巻 1 号 p. 96-100
健常人にアルギニンを点滴投与し, 尿中への1分間当りの beta-2-microglobulin とアミラーゼ排泄量および血清•尿アミラーゼアイソザイムパターンの変化を観察した. アミラーゼの1分間当りの尿中排泄量はアルギニン投与前の最大2.1倍に増加した. アルギニン投与により尿中の唾液腺型アイソザイム比活性が増加したのに対し, 血清では逆に減少した. このような結果は唾液腺型アイソザイムが腎尿細管で再吸収されることを示している. 従つて, 従来指摘されている膵型アイソザイムの腎臓におけるクリアランスが唾液腺型アイソザイムのクリアランスより高い原因として, 腎糸球体での濾過率の差だけではなく, 腎尿細管での再吸収率の差も関与していると考えられた.