1981 年 78 巻 9 号 p. 1739-1746
われわれは40g galactose tolerance test (GaTT)時の血中glucoseの変動 (ΔGlucose)に着目した.インスリン分泌能が充分な症例ではGaTT時のΔGlucoseは,galactose代謝能と無関係に平坦型の変動となつた.低インスリン分泌能の症例は,慢性肝疾患では大酒家に多く,GaTT時のΔGlucoseはgalactose代謝能(肝機能)に応じた特異的な変動を示し,ΔGlucose 30分値はgalactose 120分値と負の相関を示した.このようにGaTT時のΔGlucoseの変動はインスリン分泌能と肝機能によつて決まり,GaTT時のΔGlucose 30分値とΔGlucoseの曲線を用いて慢性肝疾患に高頻度に伴う耐糖能異常と糖尿病あるいはそれらの合併例との有用かつ簡便な鑑別法を提示した.