日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
潰瘍性大腸炎と妊娠ならびに出産に関する臨床的検討
北野 厚生小林 絢三大川 清孝岡 史朗村井 雅己田中 吉之助片山 照義山口 勝治桑島 士郎小野 時雄
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1981 年 78 巻 5 号 p. 1040-1046

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抄録

潰瘍性大腸炎と妊娠,出産との関連性についての報告は少ない.今回,妊娠,出産を契機として発症した本症女性患者3例(5回の妊娠)の臨床検討では,3例は妊娠を契機として発症あるいは増悪し,そのうち2例(2回)は出産後に増悪した.この間の治療は全例に対しSalicylazosulphapyridine (SASP)を投与した.
これらの臨床成績から,本症女性患者で妊娠を希望した場合,1年間以上の緩解期間を置くのが望ましいと考えた.また,妊娠中あるいは出産後の治療薬剤としてはSASPを用いたが,妊婦,胎児ともに影響はなかつた.副腎皮質ステロイドホルモンは母体,胎児への副作用を考慮し,慎重に投与すべきと考える.

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