日本消化器病学会雑誌
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急性肝障害重症度の指標としてのグルカゴン負荷後の血漿cyclic AMP反応
宮腰 久嗣野田 八嗣田中 延善能登 裕加登 康洋早川 浩之小林 健一服部 信
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1980 年 77 巻 10 号 p. 1596-1603

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抄録

急性肝障害14例に100μgのグルカゴン負荷を施行し,血漿cAMPの反応が肝障害重症度をあらわす指標の1つとなりうるか否かヘパプラスチンテスト(Hpt)と比較検討した.急性肝障害例では血漿cAMP反応は低値を示したが,とくにHpt 40%未満の重症例4例で著明であつた.死亡例では血漿cAMPの初期反応の低下が著明であつた.負荷前IRG値は重症肝障害群で高く,またこのような例では血漿cAMPの反応は低下していた.以上の結果,血漿cAMP反応は急性肝障害の重症度,予後を判定するうえで有用と思われれた.血漿cAMP反応低下の理由として,肝障害でみられる高グルカゴン血症が一因をなしていると思われた.

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