日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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ウイルス肝炎における血清Lysozymeの臨床的意義について
岡田 武志
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1977 年 74 巻 6 号 p. 755-764

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抄録

抗ウイルス作用のあるLysozyme (LZM) の肝炎における臨床的意義を知る目的で, 各種肝疾患98症例の血清LZM (S-LZM) 酵素活性をMicrococcus lysodejkticusを用いた比濁法により測定し, HBs抗原との関連性を検討した.その結果, 急性肝炎では, HBs抗原の有無との関連がなく, 抗体の消長と関連した症例が認められたが, 慢性肝炎, 肝硬変では, HBs抗原陽性例は陰性例に比較し低値を示した.劇症肝炎では, s-LZM値は昏睡時低下したが, 急性肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変では, むしろ健康人より高値を示し, かつ肝細胞の変性程度, 食細胞, Kupffer星細胞反応の程度と密接に関連していた.以上のことから, s-LZM値の測定は, 肝炎の病態を知る上で重要であると考えられた.

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