日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
本邦における体質性黄疸の臨床統計
1970年より1974年までの全国調査から
滝野 辰郎高橋 示人奥野 忠雄
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1977 年 74 巻 11 号 p. 1518-1528

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抄録

体質性黄疸の全国集計を実施した。対象は1970-1974年の各施設の経験例であり, 総数294例であつた.病型別ではD-J症候群121例, Rotor型37例, G病135例, crigler-Najjar症候群1例であつた.D-J症候群, G病では男性優位であり, Rotor型では性差はみられなかつた.Rotor型の発症年齢は10歳までの症例が半数近くあり, 遺伝関係も56.8%と最も高率であつた.D-J症候群, G病の発症年齢のピークは各々11-20歳, 21-30歳であつた.血清総ビリルビンの中間値の平均はRotor型, D-J症候群, G病の順に高く, Rotor型では4.75±0.23mg/dlを示した.BSP, ICGの異常程度はRotor型で最も高度であつた.D-J症候群におけるBSP再上昇現象はgo.9%にみられた.胆のうの造影率はD-J症候群で最も低かつた.肝内色素顆粒は, D-J症候群で96.3%に存在した.Phenobarbital, Bucolomeによる血清ビリルビン低下は, G病の80%以上の症例で観察された.

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