日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性膵炎における血清酵素誘発試験およびアミラーゼアイソエンザイムの臨床的意義
笹本 和啓
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1977 年 74 巻 9 号 p. 1105-1120

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抄録

慢性膵炎74例につき, PS試験 (含, 血清酵素誘発試験, 全例), アイソアミラーゼ測定 (38例) 及びERP (22例) を施行し, 次の成績を得た, PS試験により機能低下の軽度な症例には, アイソアミラーゼを組合わせた血清酵素誘発試験が診断に有用であり, この場合膵由来アイソアミラーゼの増量を認める傾向が強い. 機能低下が中等度または高度な症例は, 誘発試験陰性のものが多い. 機能低下が更に著明な症例では, 膵由釆アイソアミラーゼは減少した. 一方, PS試験とERPの不一致例の存在が示唆された. 従つて膵炎の病期・病態診断には, 誘発試験を含むPS試験, ERPの他, アイソアミラーゼの検討を行い, 総合的に判断する事が臨床上必要である事を認めた.

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