日本消化器病学会雑誌
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胃癌組織のアルカリフォスファターゼアイソエンザイムの研究
三木 一正鈴木 宏飯野 四郎丹羽 寛文織田 敏次
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1976 年 73 巻 12 号 p. 1527-1536

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抄録

胃癌の原発巣組織のアルカリフォスファターの (ALP) アイソエンザイムの酵素学的•免疫学的検討を行なつた. 23例の手術材料を用い, Morton の変法により胃癌組織のALPを抽出し試料とした. ALP活性は0.01~0.75K-A単位/μg蛋白であつた. 胃癌組織ALPは neuraminidase 処理後の5%ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法により, 明瞭な3つの活性帯 (ALPa, ALPbおよびALPc) に分離され, ALPaは全例に, ALPbは8例 (35%), ALPcは9例 (39%) に認められた. また, それぞれの阻害剤に対する態度, 65°C耐熱性, 抗ヒト肝•胎盤•小腸ALP抗体に対する免疫学的反応をヒト肝•胎盤•小腸ALPと比較検討した. ALPaは電気的易動度以外の性質は肝ALPと同じであり, 胃癌細胞周辺の間質ALPに由来すると考えられ, 正常胃組織ALPと同様であつた. ALPbは胎盤ALPと同じ性質を有し, 胃癌細胞に由来すると考えられた. ALPcは小腸ALPと同じ性質を有し胃粘膜腸上皮化生ALPに由来すると考えられた.

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