日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
孤立性縦隔転移を来した肝細胞癌の1剖検例
高田 弘一堀田 彰一目黒 高志井上 善之合田 峰千中村 英明丸谷 真守美藤田 朋紀新井 尚子宮坂 祐司藤田 美芳森田 高行石田 雄介長嶋 和郎新津 洋司郎
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2003 年 100 巻 2 号 p. 177-184

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抄録

症例は69歳,男性.平成8年より肝細胞癌に対してTAE,肝切除およびPEITを施行し,原発巣のコントロールは良好であった.しかし,平成11年孤立性縦隔転移を来したため,放射線治療を施行した.その結果,縦隔転移は縮小したが,平成12年腎転移が出現し,その後副腎,肺転移を来し死亡した.病理解剖の結果,原発巣である肝臓に腫瘍の残存は認められなかった.本症例においては肝内の腫瘍がコントロールされていたにもかかわらず,縦隔転移により不幸な転機をとった稀な症例と考えられた.

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