2019 年 116 巻 5 号 p. 404-411
門脈圧亢進症(特に静脈瘤)に対する手術療法やIVRを門脈血行動態に基づいて解説する.食道胃静脈瘤の手術療法には直達手術とシャント手術がある.シャント手術には門脈圧を減圧する門脈―大循環シャント術と,肝内門脈血流を維持して静脈瘤圧のみを減圧する選択的シャント術がある.IVRには【側副血行路塞栓】門脈側副血行路塞栓術(PTO・TIO),バルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)と,【門脈圧減圧】部分的脾動脈塞栓術(PSE),左胃動脈塞栓術(LGE),経皮的肝内門脈静脈シャント術(TIPS)がある.門脈圧亢進症では血行動態を把握し,1つの治療法に固執せず,その血行動態に即した治療法を選択することが重要である.