2017 年 114 巻 5 号 p. 839-845
ウイルソン病は原因不明の肝機能障害,肝硬変における鑑別診断の1つである.多くは幼少期に診断されるが,成人後に肝硬変として発見される症例も経験する.血清セルロプラスミン,尿中銅などの測定にて診断可能な症例もあるが,診断に苦慮し,ATP7B遺伝子変異検査や肝組織中銅含有量測定が必要な場合もある.米国肝臓病学会,ヨーロッパ肝臓学会から診断ガイドラインが提唱されており,本邦でも2015年にウイルソン病診断ガイドラインが発表され,診断困難例においても,各ガイドラインに従った診断が可能となった.当科でのウイルソン病症例を各ガイドラインの診断基準,フローチャートを用いて検討し,その有用性を報告する.