2011 年 108 巻 6 号 p. 887-898
近年,さまざまな画像強調内視鏡が開発され実際の臨床に応用できるようになった.しかしながら,電気的信号処理に依存した光学的手法を用いているのは,狭帯域光観察narrow-band imaging(NBI)のみである.本方法の原理・臨床効果・臨床応用について概説する.NBIは,415nmと540nmの2波長を中心波長とする青色と緑色の狭帯域光を粘膜に投射し,粘膜表層の微小血管構築像と表面微細構造を明瞭に視覚化する臨床効果を有する.主な上部消化管領域における臨床応用については,消化管のみならず,頭頸部と食道扁平上皮癌の存在診断・質的診断,Barrett食道腺癌の質的診断,慢性胃炎粘膜の腸上皮化生の診断,胃炎と胃腺癌の鑑別診断,早期胃癌の術前境界診断,胃癌と腺腫の鑑別診断における有用性などが報告されている.本方法を内視鏡観察に併用することで,従来の内視鏡観察法では限界があった,微細病変の臨床診断が可能となった.