日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
総説
自然免疫系からみた炎症性腸疾患の病態
渡辺 和宏福島 浩平小川 仁舟山 裕士佐々木 巌
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2006 年 103 巻 1 号 p. 1-6

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抄録

自然免疫系は微生物の曝露早期から応答する第一線の生体防御機構であり,これらの自然免疫応答が獲得免疫系の活性化のトリガーとなることも明らかとなってきた.TLRファミリーやNODファミリーなどの受容体は,微生物成分(PAMPs)をパターン認識することでシグナル伝達を活性化し,炎症性サイトカインや抗菌ペプチドなどの産生を誘導する.炎症性腸疾患における腸上皮細胞でのTLRや抗菌ペプチドの発現量の変化,クローン病におけるNOD2遺伝子多型などの最近の知見は,自然免疫系が炎症性腸疾患の病態に深く関与していることをうかがわせる.

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© 2006 (一財) 日本消化器病学会
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