日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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胆石症の診断におけるCT scanの意義
特に結石の組成とCT値について
伊佐地 秀司野口 孝水本 龍二
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1982 年 79 巻 9 号 p. 1757-1765

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抄録

胆石症の診断におけるCT scanの意義を明らかにする目的で,272例の手術で摘出された胆石の肉眼的性状や赤外線吸収スペクトルム分析による組成と術前のCT像やCT値との関係について検討した.
腹部単純X線写真での結石陽性率は胆嚢結石23%,総胆管結石6%,肝内結石にはなく全症例中15.5%であつた.胆石のCT値と赤外線吸収スペクトルム分析による組成とを対比すると,主成分がコレステリンではCT値60 Hounsfield Units (HU)以下,ビリルビンカルシウムは60~140HU,炭酸カルシウムは140HU以上であつた.従つて胆石症に対するCT scanはその診断のみならず主成分の判定や成因の想定,胆石溶解剤の適応判定などの上でも極めて有用と考えられた.

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