潰瘍性大腸炎の診療は,ここ10年で大きく変貌した.最も劇的な変化は,治療目標が「症状の改善」から「粘膜治癒」へと大きく引き上げられたことである.粘膜治癒により,長期的な予後を変えることができることが示されたからである.基礎研究の進歩も著しく,潰瘍性大腸炎の病態における腸内細菌叢の関与が明らかになり,多くの疾患感受性遺伝子が同定された結果,病態の理解も劇的に進歩した.さらに再生医療も潰瘍性大腸炎の治療として,現実的な段階にまで来ている.このように,潰瘍性大腸炎の診療・研究は大幅に進歩したが,既存の基本治療薬を使いこなすことが,潰瘍性大腸炎の治療において最も重要であることは全く変わっていない.