日本消化器がん検診学会雑誌
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原著
任意型内視鏡検診での胃がん死亡率減少効果
細川 治新保 卓郎松田 一夫宮永 太門
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2011 年 49 巻 3 号 p. 401-407

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抄録

胃内視鏡検査は死亡率減少効果を示す証拠がなく, 対策型検診での実施は勧められず, 任意型検診で実施する場合にも有効性の証明がないことを受診者に説明しなければならないとされたが, 今回, 有効性が証明された対策型胃X線検診と比較して, 任意型胃内視鏡検診を死亡率減少効果の点から検討した。36,876名の対策型胃X線検診受診者と18,011名の任意型内視鏡検診受診者を我が国で最も届け出精度の高い福井県がん登録と照合した。検診受診日から5年以内に胃がんとされた受診者は内視鏡検診で238例(1.3%), X線検診で245例(0.7%)であった。性と年齢を調整して検討した場合, 内視鏡検診受診者中の胃がん発見が有意に多く, X線検診に対するオッズ比は2.31であった。他方, 性と年齢を調整した内視鏡検査受診者中の胃がん死亡は有意に少なく, X線検診受診者に対しての検診後5年以内胃がん死亡ハザード比は0.23であった。任意型内視鏡検診は対策型X線検診に比較して胃がん死亡率減少効果が大きく, 内視鏡検査は対策型検診としても実施すべきであると考えられた。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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