日本調理科学会大会研究発表要旨集
2021年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2B-12
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口頭発表
分子調理法で調製したプリンの印象評価と個人特性との関連
*村上 穂乃佳町澤 まろ水落 亮平佐々 卓哉角野 充奈冨永 美穂子
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抄録

【目的】食品の安全性を確認する際,味や香りの他に,外観は重要な指標のひとつであると言えるが,科学技術的なアプローチで想像できない外観に変えられた分子料理が注目されている。人は栄養やおいしさを求めて日々食選択をしており,その比重は個人によって異なる。分子料理のような新しい料理の選択に際しても,個人特性が影響していると考えられる。そこで本研究では,新しい料理の認知度の把握を含め,分子料理の外観に対する印象や摂食意欲と個人特性との関連を検討することとした。

【方法】2020年10月〜11月にかけて,学生を中心とした10代〜70代を対象に,個人特性,新しい料理の認知度,分子料理の印象及び摂食意欲に関するwebアンケートを実施し,306部のデータを解析に用いた。分子料理は,同材料で一般的,エスプーマ(泡状),シート状,エスプーマを凍結させたプリンを調製し,それらの画像をアンケートで使用した。印象及び摂食意欲に関しては性,年代,居住地,価値観等の個人特性別に比較検討を行った。

【結果・考察】新しい料理に関する59用語の認知度の平均は,27.6用語と5割未満であり,特に20代において認知度が低かった。料理の摂食意欲では,一般的なプリンが最も好まれたが,食材情報の提示や個人特性で違いがみられた。女性,20代,地方圏周辺部居住者に特徴的であった安全志向型は,分子調理により外観を変化させたプリンよりも一般的なプリンの摂食意欲順位が高かったが,情報提示によりその順位が低下した。他方,革新性,技術性,芸術などに価値をおく人や新しい料理に関する用語の認知度が高い人は一般的なプリンを上位に選択しない傾向にあり,分子料理の受容性にはこれらの個人特性と関連があることが示唆された。

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