2018 年 27 巻 5 号 p. 399-403
症例は78歳男性.下腿の疼痛,しびれを主訴に当院受診した.CT,血管造影では腎動脈下腹部大動脈から両側膝窩動脈までびまん性動脈拡大を伴う多発動脈瘤病変を認め,左浅大腿動脈から膝窩動脈にかけて閉塞していることにより重症虚血肢に陥っていた.分割手術の方針とし,まず左重症虚血肢に対する治療として左腸骨動脈から大腿深動脈まで人工血管を用いて置換し,さらに大腿深動脈から膝下膝窩動脈まで大伏在静脈を用いてバイパスを作成した.続いて2期目の手術として腹部大動脈から両側外腸骨動脈,左内腸骨動脈を人工血管にて置換し下腸間膜動脈は再建した.3期目に右浅大腿動脈から膝上膝窩動脈までを人工血管にて置換した.術後経過は良好でCTでも再建した部位は良好に開存していた.本症例はこれまでに報告されてきたarteriomegalyやaneurysmosisに含まれる疾患と考えられた.