日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
B 群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)による感染性心内膜炎に合併した感染性腕頭動脈瘤の1 手術例
森島 学飯田 淳植山 浩二
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2014 年 23 巻 7 号 p. 993-996

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抄録

要旨:今回,術前脳梗塞を発症した起炎菌として極めて稀なB 群連鎖球菌(Streptococcus agalactiae)による感染性腕頭動脈瘤の1 手術例を経験した.症例は65 歳男性.食欲不振と右肩痛のため入院となった.心臓超音波検査にて中等度から高度の大動脈弁閉鎖不全症を認め,入院2 日目から38˚C の発熱があり,造影CT にて径41 mm の感染性腕頭動脈瘤を指摘された.左下肢麻痺が出現し,頭部MRI にて多発性の新規脳梗塞を認めた.血液培養からB 群連鎖球菌が検出され,1 週間後に手術となった.手術は脳分離体外循環併用下に,リファンピシン浸漬人工血管による弓部部分置換術と生体弁による大動脈弁置換術を行い,人工心肺離脱後に大網充填術を施行した.術中組織培養は陰性であった.大動脈弁の病理検査では好中球の集簇を認め感染性心内膜炎に矛盾しない所見であった.6 週間の抗生剤治療後に退院し,術後8 カ月を経て経過良好である.

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