人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
放射線滅菌ならびに高圧蒸気滅菌されたポリウレタン中の4, 4'
―ジアミノジフェニルメタン(MDA)の分析について
新谷 英晴中村 晃忠
著者情報
ジャーナル フリー

1989 年 18 巻 1 号 p. 127-130

詳細
抄録

熱可塑性ポリウレタン(PU)中の4, 4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA, 別名メチレンジアニリン、発がん物質)の定量法を確立し、放射線ならびに高圧蒸気滅菌したときのMDA生成とPUフィルムからメタノールおよび血清へのMDAの溶出について検討した。使用したPUは次の2系統である。すなわち、PU-1-3: 4, 4'-ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)のポリマー;PU-4-6:MDI/PTMGプレポリマーを1, 4-ブタンジオールで鎖延長したポリマーである。放射線滅菌(10Mrad)以下の場合、PU-1-3およびPU-4-6ともにMDAの生成は見られなかった。他方、高圧蒸気滅菌(121度、30分)の場合、PU-4-6ではMDA生成は認められなかったのに対し、PU-1-3ではMDAの生成が認められた。PU-1-3のフィルムから血清に溶出するMDAの量はメタノールへの溶出量とほぼ同じ程度であった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top