日本胸部疾患学会雑誌
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胸腺嚢胞の2例
島田 達也坂田 典史宮地 ますみ松岡 多香子松村 克己
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1994 年 32 巻 12 号 p. 1217-1222

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抄録

ハンセン病患者に見られた比較的稀とされる胸腺嚢胞の2症例を報告する. 症例1は64歳の女性で, 6年間の経過を有する右心陰影の増大のため入院した. CTおよび穿刺にて前縦隔嚢胞性腫瘤として摘出術を施行し胸腺嚢胞と診断された. 症例2は64歳の女性で, 7年間の経過を有する左第3弓の突出の増大のため受診した. CTおよびMRIにて前縦隔に軟部腫瘤を認め, それはリアルタイム超音波検査にて柔らかい嚢胞性病変として描出され, 摘出術にて胸腺嚢胞と診断された. 胸腺嚢胞は前縦隔嚢胞性病変の鑑別診断の一つとして重要で, その増大速度は緩徐で, その診断に超音波検査が有用であり, 嚢胞変性を伴う胸腺腫および悪性腫瘍の合併との鑑別のため摘出術は不可欠と考えられた.

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