移植
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当院における小児心臓移植の現状と課題
新川 武史吉田 尚司山形 顕子市原 有起斎藤 聡布田 伸一新浪 博
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s196_1

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抄録

【背景・目的】当院は2014年に国内3番目の小児心臓移植施設と認定された。しかし小児用補助人工心臓の導入遅れから最初の小児心臓移植は2019年に実施された。当院における小児心臓移植治療の結果とそれを行うマンパワーに関して考察する。【対象】8年間で心臓移植またはその適応獲得に向けた治療を行った小児(18歳以下)は30例。27例が当院、1例が他院に入院の状態で移植適応検討を行い、日本循環器学会心臓移植委員会での審査を経て適応判定を得た。1例は移植施設変更で当院へ転院。患者内訳は、乳児(1歳以下)が8例、幼児(6歳以下)が8例、学童(7-12歳)が6例、思春期(13-17歳)が8例であった。原疾患は拡張型心筋症が24例、先天性心疾患が2例、その他が4例であった。【結果】30例中24例が補助人工心臓装着術を実施した。治療開始後6例が死亡(心不全増悪2例、不整脈による突然死2例、補助人工心臓装着中合併症2例)し、15例が心臓移植待機中(Status 1:11例、Status 2:4例)。9例が心臓移植到達(渡航4例、国内5例)。心臓移植後の死亡は現在までなし。医療チームは、小児心臓外科チーム3名、循環器小児科11名、コーディネーター1名。心臓移植担当外科医は1名で国内での移植トレーニング経験なし。【結論】当院での小児重症心不全に対する心臓移植治療の成績は概ね妥当だと思われる。今後は移植治療の推進と共に、医療スタッフ拡充とそれを促す補助が必要であると思われる。

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