移植
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心臓移植待機期間中の補助人工心臓装着チャレンジングケースの検討
平 将生木戸 高志渡邊 卓次久呉 洋介長谷川 然永島 利章成田 淳石田 秀和石井 良吉岡 大輔島村 和男上野 高義宮川 繁
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2023 年 58 巻 Supplement 号 p. s195_1

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抄録

【背景】心臓移植実施の割合が最も多い拡張型心筋症に対する補助人工心臓(VAD)装着術、待機期間中の管理などは我が国でも一定の治療体系が確立されつつあり良好な成績を上げている。一方で、拘束型心筋症(RCM)や先天性心疾患(CHD)に対するVAD装着や術後の管理については、未だにchallengingであり、その適応、手術手技、術後管理などに関しては議論を要するところである。VAD装着及び管理困難とされる疾患に対する移植待機期間中の治療戦略についての問題点と今後の課題について検討を行う。【対象】2010年から2023年までに当院で心臓移植を行った小児症例38例のうち、RCM10例、CHD1例を対象に検証を行なった。【結果】RCM10例のうち移植前にVAD装着を行なったのは7例(植込型4例、EXCOR3例)。肺高血圧の進行が装着適応であった。サポート期間は平均542日(45-1086日)。全例肺高血圧の改善を認めたが、右心不全を合併したのが3例、1例はRVAD装着となった。全例で移植前の軽度肝腎機能障害を認め、移植後、高度の腎機能不全を1例で認めた。CHD患者はFontan術後体心室不全に対してEXCOR装着。肺動脈低形成のため移植時に肺動脈形成を要した。【まとめ】RCMやCHDに対するVAD治療に対する知見は少なくchallengingである。VAD装着後の右心不全やそれに伴う臓器障害など、長期の待機期間を管理する上で課題となる点が多く、その適応についても十分に検討する必要があると考えられた。

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