移植
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肝小腸同時移植の実施に向けての分野横断的連携の重要性
曽山 明彦松島 肇小坂 太一郎藤田 拓郎原 貴信今村 一歩足立 智彦日高 匡章江口 晋
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s332_1

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抄録

肝小腸同時移植の実施に向けて、肝臓レシピエント選択基準における腸管不全関連肝障害(Intestinal failure-associated liver disease, IFALD)の患者の優先順位に関する改正が行われたことは大きな一歩である。肝臓移植レシピエント選択基準において、小腸移植適応評価委員会において肝・小腸同時移植の適応と判断された患者は(総ビリルビン値 6mg/dl 以上) 、MELDスコア16点での脳死肝移植待機登録が可能となり、その後、180日毎に2点が加点される。1年間待機するとMELDスコアが4点上昇することになる。2年経過時には24点となり、肝臓があっせんされる可能性が高まる。肝小腸同時移植の希望者に肝臓があっせんされることになった場合、レシピエント選択基準に従って、肝臓、小腸が同時にあっせんされる。抄録執筆時点では、IFALDで待機登録している患者はいないが(小腸移植待機登録者数は11名)、現段階からレシピエント選択基準の正しい理解のもとに準備を進めることが必要となる。例えば膵臓の提供がない場合やあっせんが行われない場合の摘出手術の実際について学会内で臓器横断的にコンセンサスを確立しておくこと、また肝小腸同時移植の際のロジスティックスについて、行政や日本臓器移植ネットワークと情報共有しておくことが重要である。

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