移植
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臓器移植前後における糖尿病内科医としての合併症の評価と慢性管理における役割
四馬田 恵平塚 いづみ鈴木 敦詞
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s190_2

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抄録

膵臓移植を希望する1型糖尿病患者の多くは、重篤な低血糖発作や高血糖により血糖コントロールが不安定な状態が継続し、さらに合併症の進行もあり、著しいQOLの低下を認める。膵臓移植はインスリン分泌の回復により血糖コントロールが改善するのみならず、生命予後を改善し、ADL、QOLを大きく改善することができる。一方で、移植後は糖質コルチコイドや免疫抑制剤による糖代謝ならびに骨代謝の悪化が懸念される、

移植患者は複数の進行した合併症を抱えており、待機期間中も細心の注意を払った全身管理が必要になる。また、移植後、インスリン治療を離脱し、血糖の正常化を得られたとしても、75gOGTT負荷試験を行うと、インスリン分泌の様々なパターンが認められ、移植後に反応性の低血糖を認めることもある。また、移植後に定期的な末梢神経障害や骨代謝の観察も行い、併存疾患へのケアも行うことを目指している。移植患者の長期予後改善にともない、慢性期管理の重要性も増していく。今後も膵臓移植に携わる内科医として、長期予後を見据えた内科的管理を行い、1型糖尿病の根治治療となり得る膵臓移植の適応や有用性について、啓発活動をおこなうことも重要であると考える。

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