移植
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生体腎移植ドナーの管理について 泌尿器科医の立場から
香野 日高環 聡坂巻 裕介近内 悠一郎井上 博之桝田 司萩生田 純徳山 博文中川 健
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2022 年 57 巻 Supplement 号 p. s170_1

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抄録

当院ではドナー手術は全例腹腔鏡手術で行っており、術直後の外来で創部の確認を行ったあとは、外科的な問題はほとんどないと言ってよい。ドナーフォローは泌尿器科医であっても内科医の視点で行うことが重要であると考える。

当院の腎移植外来は、泌尿器科医、腎臓内科医、腎移植レシピエントコーディネーター、管理栄養士が横並びで外来業務を行っている。ドナーもレシピエントと同様に長期のフォローが必要であり、何らかの問題が生ずれば、高血圧や塩分摂取過多、脂質異常症などについて、すぐに多職種で対応している。

また当院では原則として糖尿病のある方からの腎採取は行っていない。ボーダーラインであるドナーに関してはOGTTを行い、HbA1c値が軽度高値である場合などは、生活指導、食事療法にて数値が正常化し、安定してから腎採取している。このようなドナーは術後も体重管理、血糖管理を多職種で連携して注意深く観察する必要がある。術後1年が経過して大きな問題がなくても、6か月程度の間隔での再診を行っている。遠方に住むドナーは近医に紹介状を書いてフォローをお願いしている。

2014年から腎移植を始めた当院においてはフォロー期間がまだ短いためか、蛋白尿が増加したり、血清クレアチニンが上昇したりしたドナーはまだいない。当然のことながら今後も超長期にわたる管理が必要であると考えている。

本講演では当院でのドナーフォローの現況や、今後の課題について報告する。

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